知らざあ言って聞かせやしょう。
しらざあいって
きかせやしょう
はまのまさごと
ごえもんが
うたにのこせし
ぬすっとの
たねはつきねえ
しちりがはま
そのしらなみの
よばたらき
いぜんをいやあ
えのしまで
ねんきづとめの
ちごがふち
ひゃくみでちらす
まきせんを
あてにこざらの
いちもんこ
ひゃくがにひゃくと
さいせんを
くすねぜにせえ
だんだんに
あくじはのぼる
かみのみや
いわもといんの
こうじゅうで
まくらさがしも
たびかさなり
おてながこうと
ふだつきに
とうとうしまを
おいだされ
それからわかしゅの
つつもたせ
そこやかしこの
てらしまで
こみみにきいた
おとわやの
にぬこわいろで
こゆすりかたり
なさえゆかりの
べんてんこぞう
きくのすけたあ
おれがことだ
知らざあ言って
聞かせやしょう。
浜の真砂と五右衛門が
歌に残せし盗人の
種は尽きねえ七里ヶ浜、
その白浪の夜働き、
以前を言やあ江ノ島で
年季勤めの 稚児ヶ淵、
百味でちらす蒔銭を
当てに小皿の一文子、
百が二百と賽銭の
くすね銭せえだんだんに
悪事は上る 上の宮、
岩本院で講中の
枕捜しも度重なり
お手長講と札附きに
とうとう島を追い出され、
それから若衆の美人局、
ここやかしこの寺島で、
小耳に聞いた祖父さんの(音羽屋の)
似ぬ声色で小ゆすりかたり、
名さえ由縁の
弁天小僧菊之助たあ、
俺がことだ。